數本の小松が生えていた
海はきらきらと輝き
波は白い歯を出して笑った
小松は若緑の葉を嬉々としてそよがせ
波に目くぼせした
海はうなずき
大きく身を揺すった
波は跳ねあがり
渚をひた走り
砂丘の胸を馳せあがった
小松は眼をつぶり
頭上の空間を埋めて
奔りゆくものの重みに堪えた
舟は流され
漁小屋は遺棄された
砂丘の胸は透明な水の中に
なお盛りあがっている
小粒は嬉々として葉をそよがせ
光の縞に伸び上り
海藻と化していた
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[町田志津子の第一詩集「幽界通信」]
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Profile : Takahashi, Hideki : 高橋秀樹
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ラベル:幽界通信
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