第2章 対象意識の異常
第2節 概念・思考の異常
第2 思考の異常
一 思考の発達過程
二 思考過程の異常 ←←← 今ココ。
三 思考の体験様式の異常
四 思考内容の異常 (妄想)
…
(四) 思考奔逸
flight of iodeas (英)
Ideenflucht (独)
思考奔逸は躁状態の時の思考過程の異常で思考停止の反対である。決定傾向による思考過程の統制が低下するため、観念が過剰に現れ、思考目的から離れた観念や判断が表面的な結びつきで次から次へと出現し、思考が岐路に外れ易くなる。また観念が思考目的によって秩序立てられないため、頭に浮んでくる観念がどれも同等の重要さをもつようになり、極端になれば頭に浮んだ観念が直ちに思考目的となり、それが表面的な関係で次の観念を呼び起し、全体としては統一のない観念群の表面的な連結になる。観念の結びつきは音響的類似、語呂合せ的関係によるものもあり(音響連合)、外部の、見たり聞いたりしたことに影響されることもある(転導性)。
軽い場合には話がその主題から次第に外れて行くという程度のこともあり、「考えが次から次へと浮んでくるが、それがまとまらない」ことを自覚できることもある。思考奔逸が著明になると話の連絡がほとんど理解できなくなり、次の支離滅裂と区別できなくなる。我々が日常観察できる思考奔逸の適例は、アルコールに酩酊した人が機嫌よく管をまいている状態である。
例 (躁病の男子)
「今二二歳です、二二といえばもう一人前ですわ、何でもやろうと思えばできます、私は歌を歌うのが好きでしてね、昨日も湯屋で歌ってほめられたのです、子供達が皆よってきてね、子供はいいですね、無邪気ですわ、子供と野球してると健康によいです、スポーツばやりで、古橋はえらいもんです、アメリカは強いが日本も負けませんよ、(学生を見て)諸君も医学でえらくなりなさい、野口英世に湯川さんか、ノーベル賞は世界一か、(歌のようになる)……」
(五) 支離滅裂
incoherence (英)
Zerfahrenheit (独)
incohérence (仏)
支難滅裂とは分裂病に特有の思考異常で、意識が清明でありながら、思考過程に連絡と統一とが欠けているもので、極端な場合には次々に現われる観念相互間の関係が全く我々に理解できないものである。
図式的にいえば思考奔逸の場合には観念「a」と次の「a'」、また「a'」と「a''」との間に少くとも表面的な関係は保たれているが、支離滅裂の場合には互いにとなり合う「a」と「a'」、「a'」と「a''」との間にも何らの関係がないように見えることがあり得る。
例 (ある緊張病者の独語)
「格子やで、格子やいうたら、汚れとるやろうがな、千年万年いうたら雪やがな、あら逆様になっとる、色々真似するのはおっさんは芝居の大将やで、上手な日記の鬼の絵かいな、そらあかん、石切さんへ行く方やな、そうや、慾深うても、てんと親切や……」
また一見すれば整然たる文章の形式を具え、時には甚だしく街学的な文辞を使用しながら、その意味が充分理解できないこともある。これは分裂病的な不自然さ、わざとらしさの一表現でもある。
例 (手紙の一節)
「……山羊は愛すべき動物ですが、本来の動物の属性としての野性が鼠や犬にも存在するほど存在しない、病院の山羊は実験用の動物でむしろ人間に近いが、私には近親感がない、野性は人間にもあるが、私と山羊とは類似性があり、それは近親感ではない、むしろ深い憎悪感であり、抽象的な存在としての動物には共通に存在するものです、私は山羊の孤独性をその野性のない存在の象徴のように感じています。」
支雛戚裂の成因としてはまず先に述べたように概念の意味が崩壊し、言葉に主観的、恣意的な意味を付して使用するため本人には判っていても、我々にはその意味が理解できない場合が考えられる。例えば、鍵という言葉が、病院から退院することを意味し、「鍵がほしい」というのが退院の希望を現わしていることがある。
また思考を全体的、統一的にまとめることができず、その一部分を自己の勝手な主観によって解釈するため、全体としては全くまとまりがなくなってしまうということもある。これは格言や「ことわざ」を分裂病者に説明させるとよくわかる。
例 『犬も歩けば棒にあたる』とは?
「犬が道端を歩いていたのです、田舎道だと思います。田舎道にも棒はあります(?)犬という動物は人に好かれます(?)......」
この事実をベルツェは思考の能動性の減退によるとし、べーリンガーは「志向弓の拡がりの減弱」と呼んだ。また入眠時または半睡半醒状態では思考の形式が浮動的でまとまりがなく、概念の意味も不安定且つ象徴的になるので、これと分裂病の思考異常とを比較して説明する人がある(C・シュナイダー)。
なお支離滅裂が精神運動性興奮と合併している時は、思考奔逸と同様な機制が加わることが多く、また支離滅裂が極端になれば、本人自身にとっても全く無意味な言葉が自動的に湧出しているに過ぎないこともあるであろう。この際、常同的機械的に同じ文句を何度もくり返してしゃべる場合を音誦症という。これは保続症とは区別すべきものである。また序列言語といい、同じ範疇に属する言葉を意味もなく並べたてることがある。
一般に分裂病では意志や感情の領域でも人格的統一機能の障碍が見られるのであって、思考障碍もこの人格統一障碍の部分的な現われと見るべきではないかと思われる。
なお外因性疾患などで意識溷濁と精神運動性興奮とが存する場合の思考過程は、分裂病のそれとほとんど区別できないことがあるが、意識溷濁がある点で区別される。一般に種々の原因によって、多弁で無意味なことを話しつづけ、精神運動性興奮を伴う状態を、一括して錯乱状態と総称する。
なお支離滅裂の初期には、本人がこれをある程度自覚し、例えば「考えがまとまらない、考えようとしても頭がごたごたして判らなくなる、余計な考えが浮んでくる」などということがある。そしてこのような体験が、分裂病に見られる作為思考や妄想知覚という症状の基礎を形成していると思われる。
三 思考の体験様式の異常
(一) 強迫観念及びその他の強迫体験
(1) 強迫体験の種類
強迫観念とはある観念が絶えず頭に浮んできて、これを考えまいとしても抑止することができない状態である。
…
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