生き生きとした描写で、面白く、読みやすいです。イデオロギーを気にしなければ、楽しいです。
100人いれば100通りの捉え方・見方がありますが、この書は当然ですが、天皇中心の歴史観で以て書かれています。そういう捉え方・見方がどうあっても嫌な人には嫌でしょうけれど、イデオロギっているのは読む前から分かり切っていますので、むしろ安心して読み進められます。どういう魂胆でこのような書き方になっているのか、などと訝しまなくても済みます。(ちょうど「赤旗」のほうが「朝日新聞」より好感持って読めるのと同じ。) (イデオロギーは実はあるのです、結構、なんの書にでも。)
なんか、すごく、文学的です。
「万葉集」を紹介するクダリなど、こうです。
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「国中に元気が満ち、力があふれました。このころできた万葉集という和歌の本には、若鮎のようにぴちぴちとした歌が、たくさん集っています。」
神話の時代から始めているのも現在の教育にないところですね。史実かどうかも大切ですが、人々に語り継がれてきたこと、信じられてきたこと、親しまれてきたこと、そのような精神の歴史、お国柄のなれそめ、そういった部分も案外と重要、それも かなり重要 と思います。
分厚いです。ボリューム豊富、情報量の多さ、レベルの高さ。たいそう気に入りました。そして 挿絵や地図、写真、図版、系譜 など、ふんだんに盛り込まれています。いいなあ、こういうので学びたかったなあ、と思いました。現在に比べ何倍も詳しいです。日本史で というよりは 昔話やドラマ、古文、戦記物で知るようなエピソードまで 数々、載っています。曾我兄弟の仇討ち、那須与一、楠木正成親子の桜井の別れ、赤穂浪士の討ち入り…。
室町・南北朝時代の異常な詳しさがまた興味深いです。そして この書の性格上 当然ですが 天皇に同情的であるがゆえ、この時代だけ暗く重苦しい雰囲気が立ち込めています。
それに比べ、元禄文化とか、江戸時代の積極的な側面を伝える記述は、いっかな 出てきませんね。「南総里見八犬伝」も小林一茶も「東海道中膝栗毛」も出て来ないです。ああ そうですよ、そう言や、「江戸は別に暗黒の時代でもなかったですよ」てのが一般に言われるようになったの、最近の話ですものね。
近代の詳しさ、書の全体に対する比率の高さもまた、感激です。モチのロンのこと、自国に都合の良い一方的な話運びではあるのですが、そこは立場の違いなので差し引いて読めばよろし、で、それでもなお、貴重な話 (当時のナマの声) が読めたと思います。
運命だったとしか思えぬ感じ、みるみる、戦争が避けられないように避けられないようにと追い込まれていったさまを、まざまざと見せつけられました。
[復刻版]初等科国史 文部省 (著), 解説 : 三浦 小太郎 (その他) ハート出版 1800 yen + 税
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