2009年03月20日

町田志津子の第一詩集「幽界通信」の作者本人による「あとがき」と「奥付」。

町田志津子の第一詩集「幽界通信」の作者本人による「あとがき」。    あとがき
 
 北川先生の「麺麭」に投稿しはじめ、深尾先生のお宅に伺うようになってから、二十年近くの歳月が流れている。得がたい両先生の教えを頂きながら、戰爭によって日本の女性の多くが受けたと同じ不幸に、私も出あわなかったら、相変らずその生活のように温室的な詩を書きつづけていたであろう。それから第二の私が目覚めたとも云える。詩の中に自分の眞実を見出していくように努力し、創刊された「時間」の同人に加わった。
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2009年03月09日

「秋分」 「彼岸」 並びに 北川冬彦による跋 (詩集「幽界通信」より)。

「秋分」 並びに 「彼岸」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。秋分
 
 
數葉 地に敷き
露 草に溢れ
鳥屋(とや)の藁を
卵のぬくみ
思念の果てに
澄む
碧落


最後の詩「彼岸」 (超オススメ) 並びに 跋 を読む
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2009年03月08日

「西芳寺」 「三月堂」 (詩集「幽界通信」より)。

「西芳寺」 並びに 「三月堂」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。西芳寺
 
 
うすもみじ 水に映じ
時雨にさびた苔の雫
胸にしたたるも
溢るるもの阻まれて
凝縮す

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2009年03月06日

「花」 「世」 (詩集「幽界通信」より)。

「花」 並びに 「世」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。
 
 
堪えがたい思いに
莟の律(おきて)をやぶり

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2009年03月05日

「蝶」 (詩集「幽界通信」より)。

「蝶」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。奔瑞のしぶき

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2009年03月03日

「赤石」 (詩集「幽界通信」より)。

「赤石」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。梅の花
かなしい生命(いのち)の發條
陽はさりげなく
花うらを染め……

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2009年03月01日

「回歸」 (詩集「幽界通信」より)。

「回歸」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。西風(にし)はあの世に逃げていった
ぬれた岩に
海苔が陽を浴びている

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2009年02月27日

「山襞」 (詩集「幽界通信」より)。

「山襞」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。深い山襞に
春になっても
とけぬ雪がある

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2009年02月25日

「双子山」 (詩集「幽界通信」より)。

「双子山」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。霧雨が
山肌をかすめて
すぎた

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2009年02月23日

「鴉」 「鵜」 「芽」 (詩集「幽界通信」より)。

「鴉」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。
 
 
海は赤く濁り
波は牙をむいて岸を噛んだ

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2009年02月21日

「雨夜」 (詩集「幽界通信」より)。

「雨夜」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。晝からの雨が物の影を重く沈ませ
雲間にうすら明りの洩れるような晩
彼はあらわれる

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2009年02月19日

「草」 (詩集「幽界通信」より)。

「草」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。墓にはめったに行かない
墓標を掩って茂った草をぬく時
苦しくなる

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2009年02月17日

「茨」 「幽界通信」 (詩集「幽界通信」より)。

「茨」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。
 
 
私ははだしで草地に立った
垣のばらは月光を吸って妖しく濡れた
私は垣をのりこえた
蹠の血は砂地に花びらの烙印を押した
標識燈の光はかすれ
突堤の端に彼が立っていた
蒼白い光の中の浮彫
さすらいの日々にまもり通したもの………
私は全身を陶酔にまかせた
月も中天にこおりついたまま
地も動きを止め
海だけがざわざわと鳴っていた
……………
蹠を刺すいたみに私は醒めていった
潮のみちくるように抗(あらが)いの心が高まり
私はひっしにそれにとりすがった
  來てはならない
  連れ去るのでなければ
くりかえし叫んだ
彼は瞼をあげた
眼(まなこ)はぎらぎらと光った


「茨」の続き 並びに 詩集のタイトルにもなっている 「幽界通信」 (超オススメ) を読む
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2009年02月15日

「改正道路」 (詩集「幽界通信」より)。

「改正道路」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。星空にひしゃげた家
堀割はなまあたたかく人間の臭氣を漂わせ
だだっ廣い改正道路どこまでつづく
掘りおこされたガス管水道管
投げ出された黒い肢体
當爲なき水の噴出
地をゆるがせてゆくトラックを幾台もやりすごした
もうもうと砂塵がまきあがっているにちがいないが
見えない
掩われた夜につづく 夜夜

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2009年02月13日

「春」 (詩集「幽界通信」より)。

「春」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。身の丈ほどの鮟鱇を
棒に吊るして
二人の男が
通る
鮟鱇の口の洞穴(ほら)
洞穴に傾く
青空
砂地に陽炎
潮のしたたりの
描く
S字模様

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2009年02月11日

「ある心象」 (詩集「幽界通信」より)。

「ある心象」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。枝を揉む松
粟立つ砂

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2009年02月09日

「默契」 (詩集「幽界通信」より)。

「默契」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。盛りあがった砂丘の胸に
數本の小松が生えていた

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2009年02月07日

「鼠群」 「挿話」 (詩集「幽界通信」より)。

「鼠群」 並びに 「挿話」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。鼠群
 
 
古い街はとりはらわれた
穴ぐらの闇をつかむ鐵骨
人工の曠野にポツネンのこされた
デパートのてっぺんに

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2009年02月05日

「すずめ蛾」 (詩集「幽界通信」より)。

「すずめ蛾」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。むせかえりながらふと覚めて
顔に掩いかかる邪魔ものをふり拂った
仰向けにもがいていたが
ぱたり起きかえると
一匹のすずめ蛾だ
彼はすが目でじろりねめまわして
云った
  この部屋には出口がない
  それはわしを不安にする
  そのうえお前の鼻腔(はな)にもぬけ道がない
  だいたい お前もよっぽど………
彼はちらり嘲笑ったようだ
  不安はわしをますます大きくする
  見ろ このていたらくを
彼が羽を動かすたびに
それは見る見るひろがって蝙蝠ほどになった
  きりぎりすならすり合わせて痩せもしようが
  わしの羽は厚すぎる
  かんだかい聲をふり上げて
  お涙ちょうだいの芝居より
  こっちがどんなに悲劇だか───



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2009年02月03日

「暗い海」 「遮断機」 (詩集「幽界通信」より)。

「暗い海」 1。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。暗い海
 
 
堀割に
濁流はくねりあふれ
道のなかばを浸している

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2009年02月01日

「顏」 (詩集「幽界通信」より)。

「顏」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。両の手で掩いかくしても眼は見てはならぬものをみつめようとし
口は不埒なことをわめこうとするので
私は顏を草原にふり棄てた

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2009年01月30日

「漁村風景」 (詩集「幽界通信」より)。

「漁村風景」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。潮を泳ぐままに尻尾をピーンとはねて
煮られた鰯が干してある
とび出た眼玉 空をみつめ
蒸籠(せいろ)に押しあいへしあい
山がぐんと海に陥ちこんだ狭い道や
屋根の上 休暇の小學校の運動場まで

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2009年01月28日

「釣られた魚」 (詩集「幽界通信」より)。

「釣られた魚」。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。 子供はとくいげにバケツの中を示した。藻草のゆらぐ底で、土色をした小さな{まるた}が二匹、頭を寄せ会って、静かにえらを動かしてした。 
一匹は手水鉢に放した。 
残りの一匹は、となりの老婆にやったそうだ。老婆は網の上でピクピクはねるのを、火箸で押えつけて焼き、手掴みで食べたそうだ。 
夜、厠に立つと、生きのびたはずのが、白い腹を見せて浮いていた。陽をまともに受ける鉢の水は、煮えかえって、魚を殺したのだ。虫の音しげい草むらに棄てた魚は、ドロボー猫の腹をこやすだろう。 
子供は蚊屋の中で、大の字になり涎をたらして寝ている。 
血が温いか、冷めたいか、魚と人間の運命がちがうとすれば、それだけだ。 
神様が涎をたらすかどうか、それは私も続きを読む
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2009年01月26日

「まんぼう鮫」 (詩集「幽界通信」より)。

「まんぼう鮫」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。渚にうち揚げられたまんぼう鮫
疊半じょう敷の体をむぞうさに投げ出して
うらうらとした春の陽が
粗い灰褐色の膚におどる

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2009年01月24日

「野ばら」 (詩集「幽界通信」より)。

「野ばら」 1/2。町田志津子の第一詩集「幽界通信」より。昏迷のくらがりから 
燃え上る炎を消すまいと 
いちずな瞳で歩いていた 
  それは幾年(いくとせ)ぶりの啓示(さとし)の火のようでもあった

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2009年01月22日

「幽界通信」の目次と小序。

大体創作順に並んでいますが、はじめの 3篇は 中頃のものです。

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2009年01月20日

「幽界通信」表紙裏の自署ならびに二枚の中表紙。

町田志津子の第一詩集「幽界通信」表紙裏の自署町田志津子の第一詩集「幽界通信」 の表紙をめくると、作者ご本人様のサインがあります。
生前にお会いすることはかなわなかった私にとって、故人をしのぶ大切な手掛かりの一つでございます。

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2009年01月18日

埋もれた傑作。町田志津子の第一詩集「幽界通信」。

埋もれた傑作。町田志津子の第一詩集「幽界通信」。日本文学史上の秘宝。驚嘆すべき奇跡の一冊。
それが、
戦後の日本を代表する二大女流詩人の一人、町田志津子さんの第一詩集です。

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2009年01月15日

そう言えばあたくし、作曲家なので、

自作曲のピアノ弾き語りを、今回は しました。
 
思えば最近は、余興ばっかり、やっとる気が。

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