ドットで覆われた画面。ドットは顔を征服し、体を征服し、赤子を征服し、空間を征服して方形の画面をカラフルな色調で埋めてゆく。よく見ると、無数のドットも○△☆など様々な形だ。幾つもの目で埋められている事もある。そこには一寸の隙間もなく、神経質な程、緊張感で張りつめている。点で埋め尽くすという単純な行為の連続で、無心になってゆく作者の制作過程を思い浮かべてしまう。
イメージの輪郭は背景と似た寒色であったりして、ハレーションや錯覚を興す様な色使いと模様によって図像が正確に見えにくい。
「睦月」という過去作品を見ると、イメージは家族のランチだろうか、床一面に広がった牛乳やサンドイッチ、四つん這いの子供、寝ている人間が中央に一人。目をこらすと人間の胴からなにか血の様な液体の様なものがしたたっている。平和な風景とグロテスク(残虐)さが共存している画像だ。
作者は無心に描く行為によって、自分の内面の「痛み」の様なものにまで通じているのか。あるいは「痛み」をカモフラージュする「生」を描いているのかもしれない。
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posted by (旧) hinden (まほまほファミリー) at 00:00| 東京 🌁|
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伊藤洋子の美術
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